社務所に三文字の漢字

 当神社の社務所に3つの漢字の掲示があります。それは、「笏」と「箒」と「筆」です。この教えは、私が神職の実習時にお世話になった県内の宮司さんからのものです。神職の心得として大事にしなければならない象徴的なものとして教わりました。

「笏」(しゃく)は男の神職の神具の一つで、これなくしては祭典には奉仕できませんが、ここでは、「祭祀の厳修」が最も重要であり、祭祀を最優先することであるということです。当神社は毎朝の日供祭はもとより、月2回の月次祭、そして1月の元始祭から12月大晦日の年越しの大祓まで、年間およそ36の祭典があり、この祭典を最重視しています。

「箒」(ほうき)は、清掃を大事であるということです。清浄な処に神々は存するといいます。清浄を第一にする神社でなければなりません。私は、清掃も神事の内と思っています。そのためにも、わが身を常に清潔に保つことは当然として、境内を常に清浄に保つことに心掛けています。

「筆」は、神職は学問をしなさいということです。常に勉学に励み、神職としての教養を積み、氏子崇敬者のお手本となるべく人格の涵養に努めることです。たった一人で勉学に勤しむことは難儀なことです。時々は仲間で勉強会を開くことや、様々な研修会に積極的に参加することも必要です。学問は死ぬまで続けることだと思っています。以上「笏」「箒」「筆」の三文字を見るにつけ、日々後悔することが多いのですが、努力しなければと切に思っています。長々と書き連ねましたが、お読み頂き感謝申しあげます。

 

令和4年9月27日(火)

 故安倍晋三元総理の国葬儀に際し、謹んで哀悼の誠を捧げます。

武道館での「国葬儀」が恙なく厳粛に執り行われることを祈念します。

                         岩國白蛇神社

                          宮司 平田光寛 拝

うらさびしい秋を迎える

 宮司の平田です。今月からこの「神職のつぶやき」を開くことになりました。あくまで「つぶやき」ですので、お気軽に読み飛ばしてください。

 今年の秋は今までにないうらさびしい秋になりそうです。7月8日のあの事件から2ヶ月が過ぎましたが、今もなお喪失感を拭えないでいるなかにあって、27日の「国葬儀」に対しても、余りある嫌な雑音が耳に入ってきます。うらさびしさを通しこして、憤りさえ覚えます。悲しい限りです。日々の日供祭では、日本国と世界の平安を祈っていますが、祈りと共に、少しでも世のお役に立てればと、この「つぶやき」をはじめることにした次第です。

 

 

雅楽と神楽舞

禰宜の山口(やまぐち)と申します。

白蛇神社に奉職して九年になりますが、この間私は雅楽と神楽舞に一貫して取り組んできました。

 

雅楽では、篳篥(ひちりき)という縦笛を吹きます。

雅楽は天地人、あるいは宇宙を表している音楽と言われており、その中でも

篳篥は大地の声を表していると言われています。

演奏では主旋律を吹くので、バンドで言うとボーカルの役割です。

とてもインパクトのある音色ですが、篳篥は音を出すのも、演奏するのもかなり難しく、毎回難儀しております。

しかし仲間との合奏はいつも楽しく、それだけ練習のし甲斐があります。


神楽舞は、神前神楽舞という、神事の中で舞う巫女舞の指導をしています。

中国地方は神楽が盛んで、神楽というとヤマタノオロチに代表される石見神楽のような神楽を想像する方が多いのですが、榊や神楽鈴を使った、静かな雰囲気の舞を奉納したり、教えたりしています。

 

祭典の厳粛な雰囲気の中、雅やかな雅楽の音色や巫女の華やかな舞を見ると、とても心が動かされます。

雅楽を聴いてみたい!楽器を触ってみたい!巫女舞を舞ってみたい!という方は是非お問い合わせください。

神道の歴史と伝統を感じるひとときを体験していただければ幸いです。



神職ときどき自衛官

はじめまして、岩國白蛇神社で権禰宜として奉仕しております、藏重昂之と申します。

神社に奉仕する傍ら、予備自衛官として招集訓練等にも励んでおります。

 

そうした中で思いますのは、もし陸海空自衛官に防衛出動が下達されたとして、神職としては如何にすべきか、ということです。

 

おそらく御神前におきましては平和の回復を祈ることと、国民や自衛官の安全を祈る祝詞が奏上されることとなろうかと思いますが、その内容はどのようなものになるのでしょうか。おそらく、すぐに答えることは、神職であっても難しかろうかと思います。

 

そこでいま、戦前に刊行された戦時祝詞集を読んでおります。そこには、平和を求めて国難に立ち向かう人々の思いに応えんとしながら、「神社は宗教に非ず」という当時の政府見解との狭間で苦悩する姿も見えてきます。

 

 

こうした先人たちの足跡をたどりながら、「もし」に備えていきたいと思い、日々奉仕しております。